『車検』って、陸運局では実際どんな検査をしているの・・・?

という疑問を持っているユーザーさんも少なくないと思います。

 

そんな疑問を解決するべく、陸運局での検査内容を

細かく紐解いてみましょう!!

 

①外観検査・車両の同一性確認

検査ラインに並んでいると、まず検査員の方の目視による検査が行われます。

ヘッドライトやウインカーやブレーキランプ等の灯火類、ウインドウォッシャー液の噴射具合、クラクションの音量、ホイールナットの締め具合を、検査員の方の目と耳でチェックされます。

その一連の流れの中で、発煙筒の有効期限や、フロントガラスにスモークフィルムが貼られていないか、ガラスやレンズにヒビや割れが無いか等のチェックも同時に行われます。

 

次にボンネットを開け、刻印されている車台番号と車検証のデータに相違が無いか、エンジンの改造がなされていないか…といった、同一性の確認(車検を受けようとしている車が、車検証データと間違いが無いか)をされます。

 

ここまでが検査ラインに入る前、並んでいる状態で済ませてしまえる検査です。

特に問題がなければ、検査票にハンコを押してもらえます。

 

ちなみにホイールにキャップが付いている場合、あらかじめ外しておくと目視の検査がスムーズになりますね!

 

<ここからいよいよ検査ラインに突入です!>

②サイドスリップ検査

テスターによる検査は、まずサイドスリップ検査から始まります。

サイドスリップ……あまり聞き覚えの無い単語ですが、簡単に言うと『タイヤの横滑り量』の測定です。

 

電光掲示板に表示される指示「ゆっくり前進して停止線で停まる」…等に従い、テスターに引かれた線上を、【ゆっくり・まっすぐ】に進むことで、正しく検査されます。

ハンドル操作をしてしまったり、アクセルを踏み込みすぎてスピードが速くなりすぎてしまうと『NG』となってしまいますので…慌てないことが大事ですね!

 

③スピードメーター検査

電光掲示板の指示に従ってライン上を進み、ローラーの上にタイヤを乗せて停止します。多少のズレは機械が微調整してくれますので、指示通りに停車させればOKです。

スピードメーターの検査は「メーターが時速40kmを指すまでアクセルを踏み込み、ヘッドライトをパッシング」し、メーターと実際の速度の誤差が基準値以内であるかを測定します。

 

④ヘッドライトの光軸・照度検査

スピードメーター検査が終わると、自動的にヘッドライトテスターが車の前方に移動してきますので、指示に従ってヘッドライトの点灯操作をします。

※ちなみに意外と知られていないのが、「走行中に点灯させるヘッドライトは、本来ハイビーム(上向き)である」ということ!

ですので、この項目で検査されるのは近年まで「ハイビーム」でした。ただ、現実問題としてほとんどの人が「ロービーム(下向き)」での走行をしていることもあり、検査対象も「ロービーム」へと変わってきています。

 

ここでヘッドライトの明るさ・光軸(光の向き・拡散度合い)が基準値内であるかを検査されます。

 

⑤ブレーキ検査

ブレーキには大きく分けて2種類あり、「フットブレーキ」と「パーキングブレーキ」に分類されます。

ここではそのどちらも検査対象ですが、ブレーキの不具合等は大事故につながる恐れもある為、とても重要です。

 

フットブレーキは、タイヤが接地しているローラーの回転を、ブレーキを踏むことで止め、その制動力を検査します。ですので、普段あまりすることがない(しない方が良い?)一気に奥まで力強くブレーキを踏み込む必要があります。

この力が足りずに「×」表示になってしまうことが多々ありますが、もう一度だけ測定が可能ですので、二度目は両足で思いっきり踏み込んでみましょう!

 

パーキングブレーキは、「サイドブレーキ」や「ハンドブレーキ」など呼び方は様々ありますが、どれも同じ意味です。手で引くタイプや足で踏むタイプがありますが、検査方法はどちらも同じです。

ブレーキを利かせた際に、きちんと後輪がロックされているかどうか(タイヤが回らないかどうか)の検査ですので、手で(足で)通常通りに引く(踏む)ことで正しく検査されます。

 

ちなみに……ここまでの③・④・⑤は、複数の検査ができるマルチテスターによる検査の為、一箇所で同時に行なわれます!この間、車を移動させることなく、メーター・ライト・ブレーキの検査を済ませてしまうんです!

 

⑥排気ガス検査

車のマフラーから排出される排気ガス内に、有毒ガス(一酸化炭素や炭化水素)が一定濃度以上含まれていないかを検査します。

検査方法はとても簡単で、設置されている「排ガステスター」の先端(グローブ)を、ご自分でマフラー内に挿入するだけで、10数秒程で結果が出ます。

日頃から排気ガスを気にされている方もなかなか少ないと思いますし、たまには気にかけて目を向けてみるのもいいかもしれませんね…!

 

⑦下回り検査

いよいよこちらが最後の検査です!

真ん中に穴の開いた検査台に車を乗せ、検査員がその穴の中から車の下回りを点検します。下回り…って聞いたことはあっても何のことか分からない!という人が大半かと思います。それも当然で、一般の人が車の下に潜り込んで見る機会なんてそう無いと思いますし、あまり気にせず運転されることの方が多いと思います。

だからこそ普段は気付けない不具合が見つかることも多く、重要な検査であるとも言えます!

 

具体的には…オイル等の油脂類の漏れが無いか、各部のボルトに緩みは無いか、各部のブーツ類(ゴム製のカバー)に破れは無いか…といった、放置すると大きな故障や不具合につながる細かい箇所を検査されます。

ハンマーで各部を叩いて緩みの確認をしたり、シャフトのガタを見る為に下からステアリングを揺らしたりするので、「エンジンを止める」「シフトギアをニュートラルに入れる」「ハンドルから手を離す」「ブレーキを踏む」「パーキングブレーキをかける」…など細かい指示が出ますので、これまでの検査よりも神経を使うかもしれません…。

が、慌てず指示通りに1つ1つを確実にやっていきましょう!

 

※もしもここで保安基準不適合の箇所があった場合…検査員の方よりマイクで呼び出しがかかり、実際に下に降りて不具合箇所を見られることもあります!

不適合で車検に落ちてしまうのは残念ですが、車の下回りを見られるのは貴重な体験かもしれませんね…!

 


さて、ここまで一通りの検査を終えて無事に全ての項目を問題なくクリアしていれば、新しい車検証の発行手続きへと進めるのですが…

もしも1箇所でも不合格箇所があると、「また最初からやり直し!?」と思いがちです。

でもそんなことはありません!不合格箇所によってはその場で簡単に手直しをして検査員の方に確認してもらったり、整備工場で修理後に後日改めてその箇所だけを見せに行くことで合格印がもらえます。

場合によっては再検査費用¥1,500程度が掛かったりすることもありますが、基本的に1からやり直しになるわけではありませんので、どうぞご安心を!


ここまでの長々とした文章をお読みいただき、「すごく複雑で難しい」と思われた方もいるかもしれません・・・

しかし実際には一連の流れが電光掲示板にて指示されますし、スムーズに進めば15~20分程度で終わってしまう内容なんです!

興味がある方や時間に余裕がある方は、ぜひチャレンジしてみてください!

もちろん、検査ラインで点検されるのは保安基準で定められた必要最低限箇所のみ・・・なので、整備工場での『法定点検』を受けるのもお忘れなく!!